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公認会計士試験合格体験記~1.総論~

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公認会計士試験合格体験記~1.総論~

公認会計士試験の合格体験記を書いていきます。これから公認会計士を志す方のための一助となれば幸いです。

当記事は総論的な扱いです。科目別の学習法は別記事となります。但し、2009年短答合格→2011年論文合格のため、内容的には相当程度陳腐化しているものが含まれます。また、予備校はTACしか利用していないため、どうしても無意識のうちにTAC寄りの内容となっていることでしょう。そのあたりはあらかじめご了承ください。

当記事は公認会計士試験の短答・論文をスコープとしています。補習所の考査や修了考査については今回は取り扱いませんが、別記事で書くかもしれません。

戦績

あんた誰やねん!という声が聞こえてくるかもしれませんので、とりあえず時系列順に書いていきます。

・2007年3月 電卓を手に入れる
→シャープの電卓「EL-N732K-X」を手に入れました。当時は人差し指1本で電卓を叩いていました。以後、故障するたびに同じものを買い直しています。同じ電卓を10年以上使っていることに気が付いて驚きました。笑

・2007年11月 TACの簿記3級講座を受講して、借方と貸方をやっと理解する
→簿記の勉強で一番難しいのは、簿記の入門部分ではないでしょうか。借方・貸方ってなんやねん?という部分を理解するまでが苦しい気がします。いったん理解してしまえば、あとは粛々と学習していくだけです。ボリュームは多いですが。

受験結果

以下、受験結果を時系列順に書いていきます。

・2008年2月 日商簿記検定3級◎
・2008年6月 日商簿記検定2級◎
・2009年5月 公認会計士試験・短答◎
・2009年6月 日商簿記検定1級◎
・2009年8月 公認会計士試験・論文×
・2010年8月 税理士試験・簿記論◎、財務諸表論×
・2010年8月 公認会計士試験・論文×、経営学科目合格
・2011年8月 税理士試験・財務諸表論×
・2011年8月 公認会計士試験・論文◎

短答は1回目、論文は3回目で合格していますので、おそらく平凡な合格者にカテゴライズされることでしょう。合格順位も800番台で平凡です。

(補足)
・2012年~2014年 考査:追試4回
・2015年1月 修了考査×

・2015年12月 修了考査◎

考査は追試を4回も受けて金で解決する始末。おまけに修了考査にも1回落ちていますorz

本試験成績

参考のため、試験の成績も書いておきます。

2009年5月短答

企業法 70/100
監査論 60/100
管理会計 90/100
財務会計 152/200
合計 372/500

短答は毎回合格点が変動します。2009年5月のボーダーは70%でした。

2009年8月論文

会計学 d
監査論 f
企業法 d
租税法 d
経営学 e
総合 E(45.90)

ボーダーは52.0です。短答は1回目で合格しましたが、論文は苦戦を強いられました。

2010年8月論文

会計学 54.90 18位
監査論 35.85 2,321位 ※足切り
企業法 52.95 228位
租税法 49.25 700位
経営学 61.40 225位 ※科目合格
総合 52.02 20位

(数字は得点率。順位は不合格者中の得点率順位。)

ボーダーは52.0です。監査論以外はほぼ狙い通りに行きまして、総合得点率だけ見れば完全に合格圏内ですが、監査論で足切りされて受験生活が1年長くなりました。orz

2011年8月論文

カッコ内は問別得点です。

会計学 56.25 614位
(29.3、24.25、34.9、35.65、44.65)
監査論 48.00 1,463位
(23.8、24.2)
企業法 59.35 302位
(29.45、29.9)
租税法 52.10 1,387位
(16.2、35.9)
経営学 免除
総合 54.70 899位

ボーダーは52.5です。成績開示が年々詳しくなっています。最近は本試験の答案のコピーを受け取れると風のうわさで聞きました。再現答案という用語は死語になってしまったのでしょうか。笑

予備校の選択

予備校はTACを選択しました。選択にあたって考えたことを以下の通り整理します。

独学vs.予備校

公認会計士試験を独学で合格する人も、実際にいます。とはいえ、独学合格者はかなりの少数派です。自分の方法論に自信があるならば独学も良いのでしょうけど、そうでないならばおすすめはしません。市販の教材はあまり充実していませんからね。

大手予備校vs.小規模予備校

予備校には大手予備校から比較的小規模・少人数の予備校まで、さまざまな予備校が営業しています。

仮に大手予備校で習った問題が本試験で出題された場合は多くの受験生が正答すると考えられます。逆に大手予備校で習っていない問題が出題された場合はほとんどの受験生は正答できないため、合否に影響を与えにくいと考えられます。そこで、少人数制の予備校ではなく大手予備校を選択しました。

大手であるか少人数制であるかは、合格者数の実績が判断材料となります。当時(※1)はTACと大原が2大予備校といった様相でした。そのため、TACまたは大原のカリキュラムを消化しておけば無難と考えました。

(※1)最近は予備校の勢力図も変化してきているでしょう。あくまで2008年当時の話です。

気に入った予備校を選ぶ

TACの簿記3級講座を受けてみたところ、簿記の入門的な内容が理解でき、簿記3級に無事合格することができました。そこで、TACが気に入ったため、公認会計士講座もTACにしました。

半ば直感的な面もあるのは否めませんが、公認会計士講座は短くても1年、長いと3年以上にわたって受講することになります。そのため、最後は直感的な相性を考慮して予備校を選んでしまってもよいと思います。

以上の理由により、公認会計士講座はTACで受講することに決めました。なお、TACの株式を1単元以上保有していると株主優待として受講料割引券(10%割引)が年2回もらえます。あらかじめTACの株式を100株(1単元)だけ買っておいたため、非常に助かりました。

ちなみにTACの株式を論文試験合格直後にすべて売却したところ、有価証券売却損を計上しました。orz

たまに「どこの予備校がおすすめですか?」という趣旨のご質問を受験生の方からいただくのですが、他の予備校については受講したことがないため、予備校ごとのカリキュラムの違いはあまりわかりません。あまり参考になれなくてすみません。

受験開始前にやったこと

公認会計士試験に参入すべきかどうか、冷静に考えました。勝ち目がなければそもそも参入すべきでないと考えたからです。参入する前にやったことは、以下の3つです。

受験専念できる環境を作った

公認会計士試験の合格者は、学生または無職の人が大半を占めます。合格後に実際に周囲を見渡しても受験専念組が多く、働きながら合格する人は少数派です。フルタイムで働きながら合格した人を見つけると超リスペクト!という感じです。

5年分くらいの生活費は何とか目途が立ったので、受験専念できる環境を準備できました。色々と支援してくださった皆さんには感謝する次第です。

そこで、次に検討すべきは勉強法です。

勉強法に関する本を約50冊読んだ

試験勉強の方法について、市販の書籍をとにかく読みまくりました。正確にカウントしていませんが、50冊以上は読んだと思います。役に立った書籍もあれば、まったくもって役に立たなかった書籍もあるのですが、ともかく早い段階で勉強法を確立しようと思いました。

有用だった書籍は随時紹介していきます。

合格体験記を数百人分読んだ

当時はTACの過年度の合格体験記がAmazonで1円で売られていたため、2000年合格者分からすべて買い揃えました。ただ、書籍代が1円であっても、送料が別途かかりますけどね。笑

TACの合格体験記をかたっぱしから読み、勉強時間などをエクセルに入力して分析しました。特に注目したのは以下の点です。

・各科目の学習量の比率
・1日あたりの学習時間
・1日あたりの睡眠時間
・合格までの受験回数

科目間の学習量比率に注目

学習初期から気をつけていたこと。それは「科目間の学習量比率」です。

勉強時間全体を100%としたとき、ある科目を何%くらい勉強するのかという比率です。全科目バランス良く学習する必要がある公認会計士試験において、科目間の学習量比率は重要な要素になってきます。バランスを欠いた勉強をすると、忘却があっという間に受験生の記憶を奪っていきます。全科目をうまいことグルグルと回転させることができれば勝ちです。

そこで、最適な時間配分を考えます。まず、合格者の平均的な姿を見てみましょう。以下に示すデータは、TACの合格体験談を題材に、2006年~2008年の論文合格者82人分について受験参入時に実際に分析したものです。カッコ外の%は平均値、カッコ内は標準偏差を示します。実際に受験生時代に使用していたデータであるため、データが古い点はご容赦ください。最新の合格体験記を分析すると異なる傾向が出ると思います。そもそも同様のデータが記載されていないかもしれませんが。

簿記:23.21%(6.31)
財表:13.45%(3.85)
管理:17.29%(4.15)
監査:11.96%(3.78)
企業:13.48%(4.35)
租税:13.70%(4.79)
選択:7.06%(3.62)

財務会計に多くの時間を取られていることが分かります。逆に、選択科目と監査論はあまり時間を使っていないことも分かります。

さらに、論文合格者82人について別のポイントもチェックします。同じくカッコ外は平均値、カッコ内は標準偏差を示します。

入門期の1日あたり勉強時間:6時間29分(3時間24分)
上級期の1日あたり勉強時間:10時間11分(2時間11分)
1日あたり睡眠時間:6時間40分(1時間17分)

勉強時間は、毎日10時間勉強していればとりあえずOKといったところでしょう。また、睡眠時間は普通に取れます。

これが、合格者の平均的な姿(※2)であることが理解できました。現実を知ることが、まずは第一歩だと思います。

(※2)蛇足かもしれませんが、会計士たるもの、開示された数字は批判的に検討しなくてはなりません。この点、科目間の学習量比率・1日あたり睡眠時間は意図的に操作する誘因があまりないため、不正リスクは低いと判断しました。一方、1日あたり勉強時間は過大計上リスクと過少計上リスクの両方がそれなりにあるでしょう。たとえば、合格体験記に以下のような記載を見たことはないでしょうか?

・過大計上の例:「私はこんなに沢山勉強したんだ!毎日15時間やったんだぞ!!気合があれば合格できます!!!」
・過少計上の例:「私はこんなに楽に合格しました。毎日4時間もやれば充分でしょ?要は効率ですよね(キリッ」

→ほんまかいな!?

と、合格体験記を読むことで職業的専門家としての懐疑心を涵養することができます。笑

とはいえ、他にデータもないので、1日あたり勉強時間については多少の誤差を許容して先に進むことにしましょう。

各科目の学習量の相関係数

次に、科目ごとの学習量比率について相関係数を算出して考察を行いました。イメージがわきにくいと思うので、分かりやすく例を挙げます。

簿記にたくさん時間を割いている人は、財表にもたくさん時間を割く傾向があるのでしょうか?それとも逆に財表にはあまり時間を割かない傾向があるのでしょうか?

というのを82人分のデータを使って全科目調べました。相関係数はエクセルのCORREL関数を使えば簡単に算定できます。

学習時間の全科目合計を100%とおくと、各科目の学習量比率はトレードオフ関係が成立します。例えば、簿記の学習時間を増やすには、他の何かしらの科目の学習時間を減らす必要があるってことです。そりゃそうですね。よって、各科目間の学習量の相関係数は基本的に負の値になるはずです。

しかし、分析の結果、相関係数が正の値となる科目の組み合わせが2組あることが判明しました。カッコ内は相関係数です。

1:簿記と管理(0.439)
2:監査と企業(0.240)

つまり、合格者は大きく2つのタイプ、すなわち「簿記と管理に多くの時間を割く層」と「監査と企業に多くの時間を割く層」に大別できることが分かりました。

前者は計算重視、後者は理論重視の戦略であると考えられます。

2000年代の会計士試験の受験生の間では「計算科目を戦略科目とせよ」という考えが通説とされていました。果たして、本当にそうなのでしょうか?

計算重視派vs.理論重視派

結論は「毎日の勉強時間が長めの人は計算重視、短めの人は理論重視がよい。但し理論重視でも計算は苦手にしない程度にやる」です。

ここでも先述の相関係数を使いました。煩雑になるので途中の過程は省きますが、以下2つの事実が判明しました。

・「計算重視の人は1日あたり勉強時間が長く、逆に1日あたり睡眠時間が短い傾向がある。理論重視の人は逆」
・「計算重視でも理論重視でも、合格までに必要な勉強期間・受験回数に差はほとんどない」

ということは、ですよ?平均的な合格者は上級期に1日10時間くらい勉強していることを考えると、毎日12時間とか13時間やっても体力が続く人は計算重視にすればよいし、逆に毎日10時間が厳しいのであれば理論科目で点数を稼ぐ戦略を取れば良い、と推測しました。

もし自分のタイプが分からなければ、1週間ほど毎日12時間以上机に向かってみて、適性を判断してみるのも一つの方法だと思います。管理人は入門期に計算を1日15時間やって1週間以上頭が痛くなった経験があるので、後者のタイプです。

先生、睡眠は毎日8時間取りたいです…(´・ω・`)

さて、定量的な分析はこのくらいにして、定性的な分析も行いました。合格体験記8年分(数百人分)の理論重視派の人の記述で「計算は平均点狙い、理論で差をつける」という人は何人かいましたが、「理論で満点近く取って計算は最初から適当にやった」という人はほぼ見当たりませんでした。よって、理論重視であっても計算を苦手にしない程度にはしておく必要があると考えました。

勉強法について言及した書籍や合格体験記は多数あるのですが、勉強法の選択方法について言及したものは希少であったため、自力でゴリゴリと分析するしか無かったのです。勉強法は人それぞれであるとはよく言われますが、だとしたら複数の勉強法の中から自分はどれを選んだらいいか、指針が必要であると思いませんか?

留意点

最後に、気をつけないといけない点があるのでお伝えします。合格体験記を分析して勉強法を編み出す手法には穴があり「母集団に生存バイアスがかかっている」ことです。平たく言えば「不合格者のデータは解析していない」ってことです。もっと言えば、合格体験記を読んだだけでは、合格者と不合格者を分けるものは何か?というきわめて重要な問いに答えを出すことはできません。そこで、合格体験記のみではなく、勉強法の書籍もあわせて読んでおいたほうが良いのです。

勉強法の書籍と合格体験記をもとにした分析は、常に勉強スタイルの指針となっていました。自分にも勝算がありそうだという心証を得て、ある意味安心して受験に参入することができました。今思い返すと根拠のない自信かもしれませんが、長い受験生活を乗り切るには、根拠のない自信も大切です。

全般的な戦略

さて、事前準備をふまえて全般的な戦略を書いていきます。合格体験記なので整然と書かれているように見えるかもしれませんが、実際には日々の試行錯誤を繰り返した結果です。

・入門期は計算先行。簿記と管理会計の計算を可能な限り強化しておく。

・上級期は科目間の学習量分析の結果にしたがって時間配分を行う。

・短答特化は4月から。短答は管理会計・企業法が攻めの科目、財務会計・監査論が守りの科目。

・論文は会計学・租税法・経営学が攻めの科目、監査論・企業法が守りの科目。

・勉強の計画は大雑把にしか作らない。時間単位のスケジュールは不要。

・TACには土日含めて週7日行く。朝10時くらいから21時30分まで自習室にこもる。自習中は耳栓を使用し、携帯電話をロッカーにしまう。
→2年目までは守られていないことも多かったですが、さすがに3年目はちゃんと実行しました。

・各科目の答練は教室で受講。

・睡眠時間は8時間確保。頭をすっきりさせてから勉強に取り掛かる。そのため、早朝答練は受けない。昼間に受けるか、自習用教材と割り切って使う。

・TACでは受験仲間をたくさん作る。また、講師とも気軽に雑談できる関係になる。

・TAC以外の教材には基本的に手を出さない。TAC出版の市販教材はOK。例外として、経営学は試験委員の先生の書籍・経営用語辞典を購入。

・小さいことでくよくよしない!

科目別学習法

ここまで総論的なお話を書いてきました。続いて各科目の勉強法について書いていきたいのですが、すべての科目について1つの記事に書いてしまうと長くなりすぎるので、科目ごとに別記事で書いていきたいと思います。以下、科目ごとにリンクを貼ります。必要な科目だけお読みください。

財務会計論の勉強法

公認会計士試験合格体験記~2.財務会計論の勉強法~

管理会計論の勉強法

公認会計士試験合格体験記~3.管理会計論の勉強法~

監査論の勉強法

公認会計士試験合格体験記~4.監査論の勉強法~

企業法の勉強法

公認会計士試験合格体験記~5.企業法の勉強法~

租税法の勉強法

公認会計士試験合格体験記~6.租税法の勉強法~

経営学の勉強法

公認会計士試験合格体験記~7.経営学の勉強法~

公認会計士試験合格直後の話

・TACの合格祝賀会に出席しました。

・合格証書が届きました。各種事務手続に必要となるので、無くさないようにしないといけません。

・官報に名前が載ったため、記念に購入しました。官報を購入する機会はめったにないでしょう。

・高校の同窓会に行ったら、当時同じクラスで自分の後ろの席に座っていた友人も会計士試験に合格していて驚きました。彼は2009年合格。

世間は狭いΣ(゚д゚lll)!

公認会計士試験コラム

受験生活を少し楽にするグッズの紹介など、軽く読める雑談的な内容の記事をいくつか書いていきたいと思っています。こちらも記事ができたら順次公開してリンクを貼ります。


以上が合格体験記でした。他の方の体験記については、公認会計士試験の合格体験記まとめ記事をご覧ください。

公認会計士試験の合格体験記まとめ

ここまで色々と書いておいてあれですが、この記事のように古い体験記を読んでいただけるのも大変ありがたいですけど、最新の体験記を読んだほうが絶対いいですよ。業界環境は数年間のうちに大きく変化しますからね。

この記事を読んだ受験生の皆さんを応援しております。Twitterにも質問箱を設置していますので、何かございましたらお気軽にどうぞ。ただし時間の都合上、すべてのご質問に回答するという保証はできません。あらかじめご了承ください。

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ではでは。