当記事では、公認会計士試験の監査論の管理人の勉強法について書いていきます。あくまで2011年合格者の一例として捉えていただければと思います。
全体的な勉強法については、公認会計士試験合格体験記の総論の記事をご覧ください。
監査論の科目概要
財務会計論は短答試験では100点/500点、論文試験では100点/700点を占める科目です。
理論のみから構成され、計算問題は原則として出題されません。また、試験範囲は比較的狭いため、合格水準に達するまでに必要な勉強時間は他科目と比べて短くて済みます。
監査論の科目特性
科目ごとの特性を知っておきましょう。
監査論は計算問題がないため、比較的ボリュームの少ない科目です。合格水準に達するまでの時間は他の科目と比べて短いです。
また、監査論は制度改正の影響を受けて毎年のように変更点が出てきます。そのため、最新年度の教材を使うべきですし、改正点は内容・改正の背景を理解しておいた方がよいでしょう。
全般的な勉強法
さて、科目特性を踏まえて、以下の作戦で勉強を進めていきました。
苦手科目
監査論ですが、管理人の苦手科目でしたので、勉強法は全面的に参考にしないほうが良いかもしれません。
短答は65点、2010年論文は得点比率35.75で足切り、2011年の論文合格時も得点比率48でした。よって、他の方の勉強法の方が参考になります。
そんな中で、合格年度に心掛けていたことを書こうと思います。
基礎を徹底
とにかく、基礎からやり直しました。
監査基準を毎日読む
講師に「いきなり効率的な勉強法を取ろうとすると足元をすくわれる」とのアドバイスを受けて、即効性は無くても、基礎を固める学習をしました。
付録・法令基準集も読む
監査基準の改訂前文はしっかり読みました。法令基準集は精読する時間はないので、どこに何が書かれているかを把握しておきました。
テキストの毎日速読にこだわらない
他の理論科目では、テキストの速読をして知識を維持しました。速読の方法論は財務会計論の勉強法の記事の該当箇所をご覧ください。
しかし速読にこだわるあまり、全論点を平均的に学習してしまった結果、監査論については弱点論点に割く時間が不足してしまっていたため、弱点論点に集中的に資源を投下しています。要するに、監査論で言うところのリスクアプローチです。
時間を割く
監査論は勉強時間全体の12%程度を割く人が多いですが、管理人の場合は苦手科目であったこと、また2010年に経営学の科目合格を取ったことを勘案して、合格した年度は勉強時間の20%程度を監査論に投入しました。
弱点科目に比重を置いてバランス良く進めていくことを心掛けました。
アウトプット重視
受験生は監査実務をやったことがないため、監査論を学んでもイメージがわきにくいです。そこで、早い段階から問題を解くことで、知識の使い方を知っていくのが有用でした。
方法論は財務会計論の理論と同じですので、財務会計論の勉強法の記事の該当箇所をご覧ください。
テキスト付属の〇×問題とか、基礎中の基礎から始めて、やっと合格にたどりついた感じです。問題を解くことで知識の使い方を習得していきました。
短答対策
短答・論文共通の話は以上になります。次に短答特有の対策について書いてみます。
事前対策
短答対策としては短答形式の問題を26穴バインダーに綴じて、グルグルと回転しました。重視した点は以下の通りです。
・問題ごとに解くのではなく、肢ごとに正誤を判定すること
・当て勘ではなく、正誤の根拠を言えるようにすること
・出題された点をテキストに書き込むこと
短答答練をグルグル回して解く+テキストを読んで理解&暗記する
というのがやっぱり王道なんだろうと思います。
なお、26穴バインダーは「セプトクルール」を使っていました。色が7種類あり、ちょうど公認会計士試験の科目数と同じですので、科目別に色を分けて整理することができるため、重宝していました。
また、26穴の穴あけパンチは「ゲージパンチ・ネオ」を使いました。耐久性に優れます。ただ1つだけ欠点があり、穴をあけるときに結構大きな音がしてうるさいため、自習室ではなく自宅で穴をあけることをおすすめします!
補足:バインダーは26穴のものを使うことを強くおすすめします。2穴のバインダーは紙がすぐに破れてしまい、教材が散乱するリスクが高いため、おすすめしません。
TAC出版で市販しているベーシック問題集・アドバンスト問題集も使用しました。
直前対策
直前期は根性型の勉強はやめて、コンディショニング作りを最優先にするため、勉強時間は多くても1日10時間に抑えました。新しいところをやるよりも、既存の知識のチェック!時間配分や「切る」ことも考えつつ、作戦を組みます。
以下の内容は、2009年5月の短答前に作ったメモです。内容的には古いですが、重要なことは本試験でどのような戦術を取るか、自分の得意不得意にあわせて事前に決めておくことです。
※当時は監査論と管理会計が同じ時間帯に実施されていました。試験時間は2科目合計で120分です。
・監査(35分)→管理理論(15分)→管理計算(70分)の順に解く。
・答案用紙を必ず確認すること!!管理と監査を逆にマークすると死ぬ!!
・問題文の解答要求に必ず丸をつける
→これは財表・企業とまったく同じ。問題の形式が多様なので、問題文の指示をよく読むこと。
・監査論で求められるものは合理的な価値観。知識がなくとも合理的に考えれば自然と正答が導ける問題が多い。
→逆に言えば、試験場で正答を確信できる問題はあまりないと思われる。その点は気にしないこと。
・知識問題は財表・企業法の知識をフル活用すること。
7割取れれば上々。正直読みにくい科目なので、6割くらいでも望みはある。
論文対策
続いて、論文特有の対策について書いていきます。
監査論は守りの科目
監査論は問題数が少なく、かつ、各問が独立していないことも多いため、リスク分散効果は働きません。
問題文を1箇所読み間違えるだけで10失点とか、問題数が少ないことから普通に有り得ます。そのため、ギャンブル答案は禁止。守って書いていきます。
また、特定の分野を切るのはリスクが高いです。
例えば、職業倫理の章を切ったとして、職業倫理がまとまった分量で出題されたら、ヤバいですねorz
ですので、あまり論点を切らずに網羅的にやったほうがよいと思います。
試験当日のコンディション
監査論は論文試験の初日の午前中に実施されるため、本番の緊張感から番狂わせが発生しやすいとされています。
そのため、監査論は試験当日のコンディション作りが大切になります。
管理会計論の勉強法の記事の直前対策でも書きましたが、本試験が行われる10時30分~17時30分の時間帯に頭がフル回転できるように調整をすることが重要です。
以上が監査論の勉強法でした。
この記事を読んだ受験生の皆さんを応援しております。Twitterにも質問箱を設置していますので、何かございましたらお気軽にどうぞ。ただし時間の都合上、すべてのご質問に回答するという保証はできません。あらかじめご了承ください。また、監査論は苦手科目であったため、別の合格者に質問していただいた方が良い回答が得られるかもしれません。
ではでは。