公認会計士試験 PR

公認会計士試験合格体験記~7.経営学の勉強法~

記事内に商品プロモーションを含む場合がございます

当記事では、公認会計士試験の経営学の勉強法について書いていきます。あくまで2011年合格者の一例として捉えていただければと思います。

全体的な勉強法については、公認会計士試験合格体験記の総論の記事をご覧ください。

公認会計士試験合格体験記~1.総論~公認会計士試験の合格体験記を書いていきます。これから公認会計士を志す方のための一助となれば幸いです。 当記事は総論的な扱いです。科...

選択科目の科目概要

選択科目は短答試験では出題されません。論文試験では100点/700点を占める科目です。また、4科目の中から1科目を出願時に選択します。

選択科目は経営学、経済学、民法、統計学の4科目のうち1科目必須です。大多数の受験生が経営学を選択します。年によって異なりますが、経済学、民法、統計学を選択する受験生は、それぞれ受験生全体の数%程度です。年によっては統計学はもう少し多いかもしれません。

選択科目の科目特性

科目ごとの特性を知っておきましょう。受験科目を事前に決めておく必要があるため、各科目の特性を知っておくのは有用です。

経営学

理論(主に組織論・戦略論・マーケティング等)と計算(ファイナンス論)が半分ずつ出題されます。試験範囲のボリュームは理論・計算いずれも限定的であり、他の選択科目と比べると、合格水準に達するまでの所要時間は短いです。

理論については用語の理解・暗記と論述が求められます。一方、計算については数学の知識が多少要求されます。数学が得意であると有利になりますが、経済学や統計学と比べると基礎的なレベルの数学であるため、高校レベルの数学が苦手であったとしても致命的なハンディキャップにはなりません。

管理会計論と一部重なる部分があるため、管理会計論のうち原価計算以外の分野(いわゆるハイテク分野)との関係が深い科目です。

例年、大半の受験生が経営学を選択します。そのため、選択科目は経営学以外の講座を開講していない予備校もあるほどです。

経済学

マクロ経済学とミクロ経済学について、計算のみが出題されます。試験範囲は比較的ボリュームが多く、他の選択科目と比べると、合格水準に達するまでの所要時間は長くなります。

計算問題を解くにあたっては数学の知識が相当程度要求されます。数学が得意である場合は得点源となることが期待されます。一方、高校レベルの数学が苦手である場合は避けたほうがよいでしょう。

公認会計士試験の他科目との関連性はあまりない分野になります。

なお、経済学を選択して論文試験に合格した場合、不動産鑑定士試験の論文試験で経済学が免除となります。

経済学の講座を開講していない予備校もあるため、経済学を選択する場合は予備校のカリキュラムを事前に確認しましょう。

民法

法律科目であるため、理論のみが出題されます。試験範囲は比較的ボリュームが多く、民法のうち家族法・親族法分野は試験範囲外となっているものの、他の選択科目と比べると、合格水準に達するまでの所要時間は長くなります。

数学の知識はまったく要求されません。法律の知識と論述力が相当程度要求されます。

会社法は民法の特別法であるため、企業法との関係が深い科目です。

なお、民法を選択して論文試験に合格した場合、不動産鑑定士試験の論文試験で民法が免除となります。

民法の講座を開講していない予備校もあるため、民法を選択する場合は予備校のカリキュラムを事前に確認しましょう。

統計学

計算のみが出題されます。試験範囲のボリュームは限定的であり、他の選択科目と比べると、合格水準に達するまでの所要時間は短いです。

計算問題を解くにあたっては数学の知識が相当程度要求されます。数学が得意である場合は得点源となることが期待されます。一方、高校レベルの数学が苦手である場合は避けたほうがよいでしょう。

公認会計士試験の他科目との関連性はあまりない分野になります。

統計学の講座を開講していない予備校もあるため、統計学を選択する場合は予備校のカリキュラムを事前に確認しましょう。

選択科目の選び方

選択科目は経営学を選択しました。

以下、選択科目を選ぶ基準として私見を示しておきます。

・一流大学の理系学部など、数学に相当程度自信がある人
→経営学、経済学または統計学

・一流大学の法学部の成績優秀者、司法試験の受験勉強経験者
→経営学または民法

・公認会計士試験合格後に不動産鑑定士試験を受験することがほぼ確実である人
→経済学または民法

※不動産鑑定士試験の論文試験では経済学と民法が試験科目に含まれます。よって、不動産鑑定士試験を受験する場合は、いずれにしても経済学と民法は両方勉強することになります。

・上3つのケース以外
→経営学

第一に、大多数の受験生が経営学を選択している点に着目しました。選択科目は、同じ科目を選択した受験生を母集団として得点比率がつけられます。この点、経済学・民法・統計学を選択する受験生はもともと数学・法律を得意としているケースが多いため、経営学に比べて母集団のレベルが高くなると考えられます。一方、経営学はもともと得意としている受験生もいますが、初学者も多いため、母集団のレベルはまちまちとなります。

第二に、経営学は合格水準に達するまでの所要時間が短い点に着目しました。多くの科目を同時並行的に回転させる必要がある公認会計士試験では、他科目に回せる時間が増えるのは大きな利点となります。

第三に、予備校の経営学講座が充実しているように見受けられる点に着目しました。経営学しか開講していない予備校もあるほどです。たまたまTACは4科目とも揃っていましたが、経営学はカリキュラムが確立していて学びやすかったです。

以上より、何か特段の考慮事項がない限り、経営学を選択するのがよいと思います。

1つ留意すべき点は、経営学は試験結果が運に左右されやすい点です。経済学・民法・統計学は試験範囲が比較的明確であり、対策は立てやすい科目です。一方、経営学は範囲が膨大な学問であるため、各予備校は学習範囲をかなり限定して教材を制作しており、かつ、重点を置いている分野は予備校ごとに差が出ます。そのため、どこの予備校の教材に近い問題が出題されるかという管理不能要素によって本試験の結果が変動します。

この点、論文試験は素点による絶対評価ではなく相対評価ですので、大手の予備校に通っておくことがリスク低減策となります。心配であれば他の予備校の教材に手を伸ばしても良いですが、自分は他校の教材は手を出しませんでした。

全般的な勉強法

さて、科目特性を踏まえて、以下の作戦で勉強を進めていきました。

学習時期と学習量配分

経営学は短答合格後に着手しました。

学習量配分としては、経営学は重視しました。そう考えたポイントとしては以下の通りです。

・学習すべきボリュームは少ない
・配点は100点分ある。簿記と同程度の配点
・経営学は母集団のレベルが必ずしも高くないと考えられる。短答科目ではないため、短答に合格するまで着手しない人が多い。また、運の要素が大きいと一般的に言われるため、学習しても報われにくいと考える人が多く、重視する人が少ない

そこで、経営学をちゃんとやれば差がつけられると考えました。一般的には選択科目の学習量比率は7%程度ですが、おそらく自習時間の10%程度は経営学に割いていました。

なお、高校時代、数学は苦手科目でした。経営学部出身でもないため、学習開始時点で経営学の知識はほぼゼロでした。

経営学の理論対策

やったことは主に4つです。

・テキストに出てくる重要な用語(太字部分)を暗記する
・答練を繰り返し解く(TACの2009年目標&2010年目標の2年分)
・日経新聞を毎日読む
・市販の経営学の本、試験委員の本を読む

経営学の理論部分は他の理論科目と比べて、用語の穴埋め問題や簡潔に記述する問題が多く、長文の論述問題は少ないです。

この点、用語の穴埋めは、知識を知っているかどうかで点数が変わります。ということは、高得点を狙うには用語を暗記しまくればいいと考えました。

テキストに出てくる用語を片っ端から暗記するのはもちろんですが、市販の本まで手を広げました。使用した書籍を紹介します。

・『経営用語辞典』武藤泰明

経営学の用語集です。スキマ時間を使って読み、知識を増やしていました。800語くらい収録されています。

・『経営学入門 上』榊原清則

・『経営学入門 下』榊原清則

榊原先生は、当時の経営学の試験委員の方です。コンパクトにまとまっていて、読みやすい文章が特徴の入門書です。

※受験当時は第1版を使用していましたが、2013年に上下巻とも第2版が出版されたため、第2版を紹介しています。

経営学の計算(ファイナンス論)対策

やったことは主に3つです。

・テキストの例題を繰り返し解く
・答練を繰り返し解く(TACの2009年目標&2010年目標の2年分)
・テキストに出てくる重要な用語(太字部分)を暗記する

いずれもシンプルですが、このくらいで本試験も充分戦えました。他の計算科目よりボリュームが少なく、忘却率もそこまで高くないため、学習の費用対効果は良いと思います。

学習法としては、他の計算科目と同様です。まずは計算の意味を理解して、次に例題を完璧に解けるように反復練習します。

また、計算の総合問題を解いていて間違えた分野は、原則として例題をすべて解き直します。

例えば、答練を解いていて二項モデルの計算を間違えた場合には、まず間違えた原因を特定します。そして間違えた原因が計算方法の理解不足であった場合は、次の総合問題を解くのが遅れても構わないので、テキストの二項モデルが書かれている章の例題をすべて解き直します。結果として、苦手な分野ほど繰り返し例題を解くことになるため、弱点がどんどん補強されていきます。

以上の対策をした結果、2010年の本試験で科目合格に至りました。総合の得点比率は合格水準に達していましたが、合格はなく科目合格にとどまったのは、監査論で足切りされたからです。orz

2011年の本試験は、免除の申請をしました。他の科目に注力した結果、無事に論文試験を突破しました。


以上が経営学の勉強法でした。

この記事を読んだ受験生の皆さんを応援しております。Twitterにも質問箱を設置していますので、何かございましたらお気軽にどうぞ。ただし時間の都合上、すべてのご質問に回答するという保証はできません。あらかじめご了承ください。

管理人のTwitterアカウント

ではでは。