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公認会計士試験合格体験記~3.管理会計論の勉強法~

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公認会計士試験合格体験記~3.管理会計論の勉強法~

当記事では、公認会計士試験の管理会計論の勉強法について書いていきます。あくまで2011年合格者の一例として捉えていただければと思います。

全体的な勉強法については、公認会計士試験合格体験記の総論の記事をご覧ください。

公認会計士試験合格体験記~1.総論~

管理会計論の科目概要

財務会計論は短答試験では100点/500点、論文試験では100点/700点を占める科目です。計算の試験範囲はそれなりに広く、勉強時間を取られる科目です。

管理会計論は計算と理論があり、本試験ではミックスされて出題されます。計算と理論の出題比率は年によって若干の差があり、計算がやや多い傾向が見受けられます。

管理会計論の科目特性

科目ごとの特性を知っておきましょう。

計算

ボリュームが多いため、合格水準に達するまで時間を要します。とはいえ、財務会計論の計算と比べるとボリュームは半分程度です。

また、財務会計論の計算と比べると忘却率が低く、一度得意になった分野は忘れにくいです。一方で、計算の意味を理解するまでに時間がかかる論点が多く、コツをつかむまでは苦労します。

勉強法は比較的単純であり、計算の意味を理解して、問題集を解く作業の繰り返しです。また、計算の意味を理解する観点から、理論とセットで考えると理解速度がアップします。

内部管理用の計算であるという性質上、財務会計や租税法のような制度改正の影響は受けません。

理論

こちらは計算ほどボリュームは多くなく、他の理論科目と比べてもボリュームは少なめです。

短答試験では細かい知識を問う問題も出題されますが、知らない問題は既存の知識から推測して解答するほかないです。また、論文試験では計算とセットで出題されるため、計算の意味を理解しておくことが重要となります。

全般的な勉強法

さて、科目特性を踏まえて、以下の作戦で勉強を進めていきました。

簿記2級のすすめ

事前に簿記2級まで取得してから公認会計士講座に申し込みました。財務会計論と同様ですので、詳しくは財務会計論の記事の該当箇所をご覧ください。

財務会計論の勉強法・簿記2級のすすめ

基礎期は先回り

基礎期は講義の進行に関係なく、ひたすら個別問題の計算演習をしました。こちらも財務会計論と同じですので、詳しくは財務会計論の記事の該当箇所をご覧ください。

財務会計論の勉強法・基礎期は先回り

管理会計論の計算は財務会計論の計算と比べると、計算の意味が理解できるまでに時間がかかりますが、一度理解すれば忘却率は低いです。そこで理解スピードを補うため、基礎固めの時期は予備校の講師や優秀な受験生に分からない点をどんどん質問していきます。そのうえで、例題とか個別問題集の基礎的な問題を何回も解き、計算のパターンを身につけていきます。

攻めの科目

管理会計は短答・論文ともに問題数が多く、かつ、論文試験では大問4つが独立であるため、リスク分散効果が働きます。

そのため、論文本試験では思い切って攻めの科目とすることが可能ですし、苦手論点を少々切ったとしても致命傷になる確率は比較的低いです。

但し、分野によっては1個所間違えると大量失点するケースもあるため、分野別の特徴を知っておくことが有用です。分野別の特徴については論文対策の項で後述します。

半解きのすすめ

短答合格後、10目標のときは、上級問題集は論文Aと論文Bに絞って3回解きました。論文Cは切りました。アクセスと答練は2周半くらい解きました。テキストは全範囲を1週間あたり1周のペースで、流し読みでもいいから読みました。

こんな感じでオーソドックスにやったら、2010年論文本試験で得点比率51くらいでした。

半解きとは?

2011年目標では、管理会計の上級問題集はほぼノータッチです。学習の中心はアクセスと答練でした。

その際、ただ解くのではなく、問題を読んで「どうやったら正解が出せるのか?」を徹底的に分析しました。

正解を出すにあたり、問題を読んで解法が思い浮かぶことが重要であって、電卓を打つのは単純な確認作業にすぎません。そこでアクセスや答練を自習するにあたり、

「問題文を読む→解き方を脳内で思い浮かべる→解答を見る→ミスっていたら原因を分析する」

というかたちで回す練習をしました。

たとえば、総合原価計算であればBox図を下書き用紙に描いて終了。標準原価計算の差異分析であればシュラッター図を描いたところで終了。

そして、原因分析の結果、以下のような対応をします。

・知識不足→暗記する
・計算方法がわからない→問題集等で再確認

このような方法を「半解き」と呼んでいます。実際に解答数値を算定する必要はなく、あくまで解き方を思い出せればOKとします。電卓はあまり使わないため、所要時間を大幅に短縮できます。

半解きをすると30分問題を答え合わせ含めて10分くらいで回せるので、1週間あればアクセス1年分回せます。

半解きの成果

半解きを2ヶ月ほど(2010年12月~2011年1月)かけてアクセスを8回転したら、管理会計が突然フィーバーし、すべての答練でA判定が出るようになりました。
(2011目標の論文答練10回分の偏差値平均は65.16)

基礎的な計算があやふやな段階ではあまり効果はないかもしれませんが、短答合格レベル以上であれば有効です。

但し、半解きしかやらないと以下のデメリットが生じます。

・計算スピードが速くならない
・ケアレスミス対策が講じられない

そのため、半解きだけでなく、普通に解くことも大事だと思います。とはいえ、答練を受けることで普通に解く練習はできます。自習のときは半解きで回したほうが断然、効率的です!

短答対策

短答・論文共通の話は以上になります。次に短答特有の対策について書いてみます。

事前対策

短答対策としては短答形式の問題を26穴バインダーに綴じて、グルグルと回転しました。重視した点は以下の通りです。

・問題ごとに解くのではなく、肢ごとに正誤を判定すること
・当て勘ではなく、正誤の根拠を言えるようにすること
・出題された点をテキストに書き込むこと

短答答練をグルグル回して解く+テキストを読んで理解&暗記する

というのがやっぱり王道なんだろうと思います。

なお、26穴バインダーは「セプトクルール」を使っていました。色が7種類あり、ちょうど公認会計士試験の科目数と同じですので、科目別に色を分けて整理することができるため、重宝していました。

また、26穴の穴あけパンチは「ゲージパンチ・ネオ」を使いました。耐久性に優れます。ただ1つだけ欠点があり、穴をあけるときに結構大きな音がしてうるさいため、自習室ではなく自宅で穴をあけることをおすすめします!

補足:バインダーは26穴のものを使うことを強くおすすめします。2穴のバインダーは紙がすぐに破れてしまい、教材が散乱するリスクが高いため、おすすめしません。

直前対策

直前期は根性型の勉強はやめて、コンディショニング作りを最優先にするため、勉強時間は多くても1日10時間に抑えました。新しいところをやるよりも、既存の知識のチェック!時間配分や「切る」ことも考えつつ、作戦を組みます。

以下の内容は、2009年5月の短答前に作ったメモです。内容的には古いですが、重要なことは本試験でどのような戦術を取るか、自分の得意不得意にあわせて事前に決めておくことです。

※当時は監査論と管理会計が同じ時間帯に実施されていました。試験時間は2科目合計で120分です。

<全般>
・監査(35分)→管理理論(15分)→管理計算(70分)の順に解く。
・答案用紙を必ず確認すること!!管理と監査を逆にマークすると死ぬ!!

<計算>
・解けそうなところから解くこと。
・工程別総合原価計算と設備投資意思決定は時間がかかる問題が多い。そのような問題は後回しにすること。
・標準原価計算で2材料の歩留差異と配合差異を求める問題:「歩留差異は両材料とも符号が一致。配合差異は両材料で符号が逆、かつ数量の絶対値が一致」という関係を利用しよう。
・CVP分析で、経営レバレッジ係数と安全余裕率は互いに逆数。
・設備投資意思決定で正味現在価値法を使う問題は、タックスシールドの有無を必ず確認。混乱した場合は各年度のP/Lを書いてしまえば何とかなる。

解き方が分からない場合:選択肢の解答数値を代入して逆算する。特にCVP分析とか、経済的発注量の計算はまともに解くより選択肢から逆算したほうが速い。
解けるが、選択肢の数値と合わない場合:近似値を選ぶ。部門費の配賦とかで使えるかもしれない。

<理論>
・前日に原価計算基準を一読しておく。
・原価計算分野の理論は、計算の数値例を思い浮かべると解きやすくなる。
・管理会計分野の理論は、経営学や日経新聞を含めた広い意味での教養をフル活用。
・穴埋め方式の問題は「そもそも日本語として意味が通るか」をまず考えるとかなり絞れるケースが多い。
・問題文の指示表記が一貫していないので、解答要求をよく読むこと。

8割確保しておきたいところ。

論文対策

続いて、論文特有の対策について書いていきます。

3完1半

論文試験の管理会計では、大問が4つ出されますが、ボリューム・難易度からして、4つとも完答することは困難です。そこで、

「3完1半」

大問3つ完答し、1つは解きかけで試験時間が終わるを狙うのが定石とされていました。
※あくまで2008年~2011年頃の話です。出題傾向の変化によって定石はいくらでも変わります。

3完1半を前提とすると、解く順番・取捨選択いかんによって、点数が大きく変わることになります。解く順番・取捨選択の指針になるのが、分野別の特徴の分析です。

※予備校の答練のときは3完1半ではなく、4完を狙っていました。本試験よりも高い負荷をかけて高地トレーニングをする趣旨です。

分野別の特徴

以下の内容は、2011年8月の論文試験用に作った、解く順番・取捨選択の指針です。内容的には古いですが、重要なことは本試験でどのような戦術を取るか、自分の得意不得意にあわせて事前に決めておくことです。

費目別計算
・出題可能性は低
・部分点は取りやすい
・受験生のレベルはさほど高くない
→後回しにして部分点狙い

製造間接費の配賦計算
・出題可能性は中
・計算のボリュームが多くなりやすい
・理論は典型論点
→いつ解いてもOK

部門別計算
・出題可能性は中
・しばらくやらないと計算方法を度忘れしやすい
・計算のボリュームが多くなりやすいが、難問は出にくい
→難問でないかぎり前半で解いて確実に点を取りたい

個別原価計算
・出題可能性は中
・仕損費の処理が混乱しやすい
→いつ解いてもOK

総合原価計算
・出題可能性は高
・計算過程で端数が出やすい。しかも実際に解いてみるまで出るかどうか分からない
→指示を慎重に読むこと!
・仕損の処理をチェック(度外視or非度外視、正常or異常)
・原価配分法をチェック(純粋FIFO、通常FIFO、平均法…)
・端数処理の方法をチェック(どのタイミングで?四捨五入・切上・切捨?)
→中盤に解きたい。2番目or3番目
※1番目に解くと、時間がかかったり、端数が出て不安になったりする

標準原価計算
・出題可能性は高
・受験生のレベルが高い。典型問題はみんな解ける
・原価標準の算定をミスると大量失点する
・差異の細分析は、しばらくやらないと計算方法を度忘れしやすい
・パーシャルor修正パーシャルの指示を見落としやすい
・差異の追加配賦計算は時間がかかる。埋没になりやすい
→前半か中盤に解いて確実に得点しておきたい

直接原価計算
・出題可能性は中
・他分野のおまけとしてよく出題されるが、直接原価計算単独での25点問題は考えにくい
→いつ解いてもOK

財務諸表分析
・出題可能性は低
・但し、管理会計ではなく経営学で出題される可能性はある
・計算方法を知らなくても、指示に従えば解ける場合もある
→後回しにして部分点狙い

CVP分析
・出題可能性は中
・他分野のおまけとしてよく出題される
・CVP分析単独での25点問題もある。その場合は超簡単or超面倒のどちらかになりやすい
※テクニック1:解き方を度忘れしても、つるかめ算を使えば解けることが多い
※テクニック2:「安全余裕率+損益分岐点比率=1」「安全余裕率×経営レバレッジ係数=1」が成立する。そのため、3つの数値のどれか1つを算定できれば残り2つは自動的に確定する
→まず問題の難易度・ボリュームを見極めたうえで、簡単なら前半に解く。難しい・面倒なら後回し

予算関係
・出題可能性は高
・差異分析は、しばらくやらないと計算方法を度忘れしやすい
・予算編成は、問題のボリュームが多くなりやすい
・理論は典型論点の暗記吐き出しが多い
・理論と計算が互いに独立していることが多い
→まず問題の難易度・ボリュームを見極めたうえで、簡単なら前半に解く。難しい・面倒なら後回し。但し、計算は埋没でも理論は書けるかもしれない

資金管理
・出題可能性は中
・指示に従って解く系が多い。対策がしにくい
→いつ解いてもOK

原価管理
・出題可能性は高
・特に理論をしっかり暗記すべき。標準原価計算との対比
・他分野のおまけとしてよく出題される
・原価管理単独での25点問題もある。その場合は理論中心になりやすく、計算は指示に従って解く系が多い
→よほど難解でない限り、中盤に解きたい。2番目or3番目

ABC
・出題可能性は高
・計算は超簡単or超面倒のどちらかになりやすい
・他分野とからめて出題されやすい。伝統的な製造間接費の配賦計算とABCとの比較、ABCを使った標準原価計算、ABCを使った予算編成、ABCを使った意思決定など
・計算の集計ミスをしやすい
→まず問題の難易度を見極めることが先決。典型的な問題であれば前半に解く。多少ボリュームが多くても気にしない。時間をかければ正答できるはず。一方、他分野とからめた応用的な問題であれば中盤~後半に解く

設備投資意思決定
・出題可能性は高
・1つの計算ミスが大量失点につながる
・難問が出たら埋没問題になる。ほとんどの人が計算0点になるから、差がつかない
・標準的な問題が出たら非常に差がつきやすい。特に計算が満点の人と0点の人に二極分解することが想定される。そして、満点と0点の差は、計算ミスをしたかどうかにかかっている
・とにかく、指示を慎重に読むこと!
 ・キャッシュフローの発生時点をチェック(期首・期中・期末)
・タックスシールドの有無&税率をチェック(40%とは限らないので注意!)
 ・割引計算の方法をチェック(自分で計算or原価係数表・年金原価係数表を利用)
・設備の売却損益(&タックスシールド)の集計もれに注意!!
→中盤に解きたい。2番目or3番目。但し、明らかに難問であれば4番目に解く

業務的意思決定
・出題可能性は中
・1つの計算ミスが大量失点につながる(設備投資意思決定と同様)
・意地悪なヒッカケ問題を作りやすいため、設備投資意思決定よりも完答が困難になりやすい。典型的なヒッカケは問題集などで知っておくこと
・線形計画法の作図問題がありうるから、定規を忘れないこと
・シンプレックス法が出たら埋没だから切る
・経済的発注量は、しばらくやらないと計算方法を度忘れしやすい。度忘れしたら、発注量を試行錯誤法的に当てはめていけば時間内に正答を特定できることも多い
→中盤か後半に解きたい。2番目~4番目。臨機応変に

事業部制会計・企業価値算定など
・出題可能性は高
・極端な難問は作りにくい
・理論は典型論点を暗記しておく
・EVAモデルは、しばらくやらないと計算方法を度忘れしやすい
→極端な難問でない限り、前半に解いて確実に点を取りたい

その他の管理会計分野
(品質原価計算、マテリアルフローコスト会計、スループット会計など)
・出題可能性は低~中
・計算方法を知らなくても、指示に従えば解ける場合が多い
→中盤に解きたい。2番目か3番目

直前対策

体調管理をしっかりする
→この時期の勉強時間は短めだった気がします。

試験前日は早めに寝る
→たっぷり寝ると、頭がすっきりしてお勧めです。

目覚まし時計はちゃんとセットする
試験当日に寝坊して一年を棒に振ってしまった伝説の受験生を知っています。ご注意ください。

ボーダー予想&合格人数予想はやらない
→時間の無駄なのでやめましょう。

勉強法は今さら大きく変えない
→最優先すべきは、体調管理です。過去に積み重ねた勉強量はもう管理不能ですが、当日のコンディションは前日に管理可能ですね。

本試験が行われる10時30分~17時30分の時間帯に頭がフル回転できるように調整をすること。


以上が管理会計論の勉強法でした。

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